まいにち植物、ときどき虫。

樹木医が樹木のことを中心に書いています。樹木医を目指している人が参考になる情報もあります。樹が好き、木のことをもっと知りたい方はぜひご覧ください。

黄金角 137.5度

2日続けて多肉植物の紹介をしましたが、その写真を見ていてぜひ書きたくなったことがあります。
植物に関係する重要な数字です。植物だけでなく自然界に見られる不思議な数字です。
植物は葉や花びらを出す時に一定の角度に従っているものが多いです。
その角度を黄金角といい、約137.5度になります。
この角度に従って葉を出していくと重なることがなく、日光を効率良く受けることができます。

IMG_0042 (1)

多肉植物の葉で説明するとわかりやすいと感じたので今日はそのことを少し説明します。
上の多肉は一昨日紹介したものですが、葉が規則正しく並んでいます。
わかりやすくするために線と数字をつけてみました。

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正確には大きい葉ほど先に出てきたものですが、わかりやすくするために新しい葉から順番に数字をつけています。
4の次に出てくる葉は5です。この角度は黄金角の137.5度になっています。
5の次は6ですが、この間も137.5度になります。
6の次はオレンジの7になります。137.5度開きます。
3つの葉を一セットで考えてみると2番目の数字を軸にしたYの字のようになるのがわかります。
例えば7,8,9で考えてみると8がYの中心軸になって、7と9は左右に腕を広げたような形です。
これは色分けに関係なくそうなります。
9、10、11で考えてみると、10が中心軸、9と11が左右の腕です。
この角度に従って葉や花びらを出していくと、お互いの葉が重なることがないのです。

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もし90度で出していくと5回目には一番最初の葉とぴったりと重なってしまうことになります。
他の角度でも既にある葉のちょうど真ん中に来ることはありません。


黄金角2



図で書いてみるとこんな感じになります。
全て137.5度づつずらしています。
自分で作図してみると良く分かりますが、面白いように既にある葉と葉のちょうど真ん中ぐらいの位置に新しい葉が出てきます。
最後の図ぐらいになってくると次にどこに葉が出てくるのか角度を測らなくても予想が出来ます。
少し間が空いているところです。
左斜め上の水色とオレンジの間、右真横の水色と緑の間、左斜め下の紫と緑の間です。
その次はまた、若干間が広がっている部分に出てきます。

ヒマワリの種のでき方も松ぼっくりの模様もこの黄金角に従って出来ているようです。

一つ疑問があって調べています。
サクラの花びらは5枚ですが、この場合、花びらは360度を5等分した角度、つまり72度の角度でついているのだろうかという点です。それが一番均等できれいだとは思います。
しかし、黄金角の法則にしたがって、花びらがついている可能性はないのでしょうか?
上の図で5枚の時を見ると、やはり多少いびつな感じがします。でもこれでもおかしくないような気もします。
サクラやウメの花が咲いたら調べてみます。
疑問を持って調べてみることがことが大切ですね。



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多肉直物2

昨日載せ忘れてしまったかっこいい多肉?があったので紹介します。

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松ぼっくりのようなボディからシュロの葉っぱのようなものが飛び出しています。
多肉というよりもサボテンといったほうがいいのでしょうか?

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なんだか人間のようでかっこいいですね。
手と足のようなものが飛び出しているのですが、これを切って土に挿しておけば増えるのでしょうか?
やはり多肉のことはわかりません。

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ネットで「多肉 パイナップルのような」で検索したら名前が分かりました。
「ソテツキリン」というそうです。確かにソテツに似た感じはあります。

世話の仕方は簡単で、夏は月に1回程度の水やり、春と秋は2週間に1回の水やりで良いそうです。
夏のほうが水が少なくていいとは知りませんでした。

見た感じは地際から出ているものは本体とほぼ同じ形なので、やはりこれを挿せば増殖可能なんでしょうかね。
このソテツキリンはちょうど手足のように見えるので、切るのはやめておきます。
もし、もう一つ飛び出してきたらそれをもらって挿そうと思います。

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多肉の世話が、こんなに楽なら少し育ててみたい気になってきました。

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冬でも緑があるのはうれしいですし、室内に置けるのも魅力です。
多肉ブログで勉強させてもらってわたしも始めてみようと思います。

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多肉植物

母が育てている多肉植物を少しだけ紹介します。
自分は多肉のことはほとんどわかりませんが、いろんな種類があるので面白いと感じます。

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光が差し込んで輝いているよう見えます。

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花びらのように規則正しく葉が出ています。
法則に基づいて配置されているのだと思います。

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これは花のように見えるのですが・・。
花なんでしょうか?多肉のことは何もわかりません。

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まだまだ沢山あったので、また機会があったら紹介します。
そのときまでに、少し多肉植物の基礎知識を勉強しておきます。


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ロウバイの次に咲く花

1月に入ってからロウバイの花を多くの人のブログで見るようになりました。
わたしも1月9日に写真を撮って紹介しました。

今は、ロウバイの次に咲く花を楽しみにしています。
おそらく次に咲く花は樹木ではウメではないでしょうか。
南斜面の日当たりのいい場所ではもう何輪も咲いています。

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わたしが今日見たウメも蕾がかなり膨らんでいて咲くのを待つばかりでした。

では梅の次に咲く花は何だったろうかと考えました。
春の黄色い花であることは間違いありません。
サンシュユかアブラチャンかダンコウバイあたりだと思います。
キブシやマンサクやレンギョウもあります。
どれが一番早いかと考えると自信を持って答えられません。
今年は記録をつけてみます。

今はまだ蕾です。

キブシ
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ダンコウバイ
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レンギョウ
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今日の写真は全部蕾ですが、もうすぐきれいな花が咲きます。
特に春の花は虫を呼ぶために黄色い色をしています。
黄色の花を見ていると元気が出ます。
楽しみです。


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マツ モズ

今日は一日雨が降っていたので、先日の松の手入れをしていた時の話を書きます。

何年か前から庭の剪定をするようになったお宅です。
今回は2年ぐらい間が空いてしまったので、松がかなり伸びてしまっていました。
とりあえずすっきりさせることを目標にかなりの量の枝を落としました。

作業の途中から、一匹の鳥が近くにやってきてこちらを眺めています。
大体になり、三時のお茶を飲んでいると、先ほどの鳥が脚立に留まりました。
おとした松の枝をじっと見ています。

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家の人はジョウビタキかな思ったそうですが、どうやらモズのようです。
モズは肉食なので、毛虫を探しているようです。そういえばイラガの幼虫が何匹かついていました。
落とした枝から幹に移ったり、枝から脚立に移ったりと急がしそうに餌を探していました。

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暗くなるまでずっと餌を捕っていたので、かなりの虫がいたのだと思います。
葉が茂って隠れていた虫が表面に出てきたのです。
モズもちゃんと人間が手を入れた後には虫が出てくるということを知っているのです。

畑を耕運機で耕した時、その跡をムクドリがついて歩く姿を思い出しました。

一般的に針葉樹の森は生態系が乏しくて、広葉樹は豊かだといわれています。
確かにそうなのかもしれませんが、針葉樹の森に生物が少ないかというと決してそんなことはないと思います。
マツにつく毛虫は多く、シジュウカラやコガラ、エナガなどの小型のキツツキ類にとっては貴重な餌場になっています。

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山の近くでは、リスにとっても貴重です。
上の写真は少し前にアカマツの樹の下で拾った松ぼっくりのエビフライです。
大小さまざまあります。
スギの林にはモモンガが住んでいて、スギを上手に利用しているそうです。
スギの花粉を食料にし、樹皮を剥いで巣穴に持ち帰り細かく噛み砕いて繊維状にしてふわふわのベットを作っています。

リスは昼行生、モモンガは夜行性なので、昼はマツ林に、夜はスギ林に行くと面白いかもしれませんね。
ちなみにリスもモモンガも今は冬眠中なので春が来てからのお楽しみです。



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ユリノキ その後

ユリノキのその後について報告しておきます。
双葉の後、本葉が出てきました。
まだ丸い感じで、ユリノキ独特の半纏(はんてん)の形にはなっていないようです。

発芽から振り返ってみます。

12月24日  発芽。
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1月6日  双葉の間から小さな本葉が出てきました。
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1月8日 少しだけ幅が広がったように見えます。
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1月13日 ゆっくりではありますが確実に成長しています。
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1月14日 丸くなってきました。
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1月21日 ここのところ暖かかったせいか急に葉が大きくなったように感じます。葉脈もうっすら見えます。2枚目の本葉も出てきているのがわかります。
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ユリノキは成長が早くあっという間に大きくなります。
ですから、実生直後の幼苗の姿を見ることはめったにありません。
一生懸命に生きる姿がとても愛おしく思います。



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どんぐりとシギゾウムシ 小学生の時の謎

小学生の時不思議な出来事があったのを覚えています。
学校から帰ってきて自分の部屋に行くと、机の上に小さなカブトムシの幼虫のようなものが2匹いたのです。
カブトムシの幼虫よりもはるかに小さく、直径で6~7ミリぐらいです。
何の虫の幼虫だろうかということより、どこからきたのだろうかと不思議に思いました。
机の足を登ってこれるわけがないし、上から落ちてきたのだろうかと天井を見上げた記憶があります。

その謎は解決されることなく、というよりは忘れたまま時は過ぎました。
大人になり、クヌギを育てるためにドングリを拾い冷蔵庫で保管していました。
土に播こうと袋を取り出してみると、小学生の時に見たのと同じ幼虫がそこにいました。

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それを見た瞬間、小学生の時の謎が解けました。
あれはドングリの中から出てきて机の上にいたのです。
小学生なので遊びながらドングリを拾って、無造作に机の上のどこかに置いていたのでしょう。
忘れていた疑問でしたが、謎が解けたのですっきりした気分になりました。

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さて、このクヌギのどんぐりの中から出てくる幼虫の正体はいったいなんでしょう?
どんぐりを拾ってそのまま保管したことのある人なら、幼虫が出てきてびっくりしたという経験をしたことがあるはずです。

これはシギゾウムシという昆虫の幼虫です。
クヌギシギゾウムシ、コナラシギゾウムシという種類がいますが、樹種による住み分けがなされているわけではなく、どちらのどんぐりにも卵を産み付けるようです。
わたしも成虫の実物はまだ見たことがありません。
ゾウムシの仲間なので鼻のようなくちばしが長い昆虫です。
くちばしが大変長く、鳥のシギのように見えるのでシギゾウムシと名づけられているようです。

この虫の卵が産み付けられていると幼虫が中身を食べてしまうので発芽しなくなってしまいます。それでどんぐりを拾うときに穴が開いていないものを探すのですが、残念な情報が見つかってしまいました。

成虫は長い口吻でどんぐりに穴を開け産卵(9月上・中旬)。ドングリがまだ青いうちに産み付けるので、ドングリの成長とともに産卵跡は塞がれる。孵化した幼虫はどんぐりの子葉を食べ、老熟幼虫になるとどんぐりから出てきて土中に潜り越冬する。翌年の8~9月に羽化する。

ほー。どんぐりの成長とともに穴がふさがってしまうようです。
これでは外見で判断するのは難しいですね。
途中でどんぐりから出てくるのは、土にもぐって蛹になるからです。
小学生の時、机の上に出てきた幼虫は土を探していたのです。
どんぐりの中で蛹になって成虫になってから出てくればいいのにと思いますが、そうしないのには理由があるのでしょうか。
もしかすると土の中のほうが暖かく越冬するのに有利なのかも知れません。

シギゾウムシとは別にハイイロチョッキリというどんぐりに産卵する虫がいます。
おもしろい名前ですが、その名の通り、卵を産みつけたあとに葉っぱの部分から枝をチョッキリと切り落とします。
シギゾウムシは枝を切ることはありません。

ハイイロチョッキリ

NHKのホームページにはこのハイイロチョッキリの行動が楽しい歌になっています。
習性もわかりやすく紹介されているので、興味のある方は見てみてください。
こちらです。 → 「ハイイロチョッキリだ!」

おもしろい歌ですね ᐠ( ᐢ ᵕ ᐢ )ᐟ


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ソテツの種子

ソテツの種子というものを見たことがありませんでした。
先日知人から分けてもらい、想像していたものよりもはるかに大きくてびっくりしました。

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鮮やかなオレンジ色の実です。この中にクリーム色の種子が入っています。
ソテツは雌雄異株なので実がなるのは雌だけです。ソテツの種子をあまり見かけないのは、雄と雌が揃っていて受粉できる状況のものがあまりないからではないでしょうか。

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この実は猛毒です。ですが食用にすることができます。毒抜きが必要なのですが、この方法を誤るとソテツ食中毒になり、死者も出たそうです。
「ソテツ地獄」という言葉があります。昔、南西諸島や沖縄で経済恐慌に見舞われた際に食物の代わりのこのソテツの実を食べて飢えをしのぎました。その時に毒抜きが不十分で死者を出したことから「ソテツ地獄」と呼ばれるようになったそうです。

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近くのコーヒーショップではソテツが大きな植木鉢で育てられていて何鉢も置かれていました。南国風のディスプレイを作るのにはぴったりです。
今でこそ公園や学校などに植えられていて全国で見ることができますが、もともとは九州南部や沖縄に自生していたものです。

山梨県では冬になると寒さから守るためにソテツの葉を全部まとめてその上にわらをかぶせる習慣があります。

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なんだかわら人形のようにも見えます。頭の部分についているのを「わらぼっち」と言います。
たぶん今の気候では、冬囲いをしなくても越冬できると思います。現に多くのソテツは、このようなことはせず、そのままの状態で冬を越しています。正月飾りのような意味合いが強いのだと思います。

ところで、ソテツは樹木でしょうか?
シュロやヤシの木や竹は樹木ですか?
昔、ラジオ番組の子ども電話相談室で「竹は草ですか?樹ですか?」と質問していた子どもがいましたが、そのときの先生が「竹は竹でいいんじゃないですか」と答えていたのを覚えています。

なるほど、どれかに分類したくなるのが人間ですが、竹という分野があってもいいわけです。
草と樹木の定義も実際にはあいまいで、肥大成長をするという観点で言えばシュロやソテツは年々大きくなっていきます。
竹は1年間だけ生長してその後の成長はありません。
そう考えればシュロやソテツは樹木ともいえますが、両者とも年輪がないので樹木ともいえないのではと思います。

わらぼっちの横にソテツの切り株があったので、これを見て樹木に分類できるか考えてみてください。

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ソテツはソテツでいいんじゃないでしょうか。


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キンリョウヘン(金稜辺) 種から増やす その3

キンリョウヘンの無菌播種のその3になります。
前回からの続きで今回は③以降の説明になります。

③無菌箱作り
雑菌の混入を防ぐために密閉された空間で作業ができるようにします。業者の場合はクリーンルームやクリーンベンチというものを使いますが、高価なので家庭では無菌箱を用います。
販売されているものはこんな感じです。

無菌箱

ようは透明の箱を作って、外の空気が入ることを防いで作業ができるようにしたものです。
たったこれだけのものですが、モノタロウでは4万9,000円もします。
それだけお金を出せばキンリョウヘンが沢山買えます。それで自作します。
決まった形はありませんので写真のように中の様子が見られ作業できるように、ゴム手袋がくっつけてあるようにします。
あと必要な道具を出し入れできる開閉口も必要です。
水に強い必要がありますが自分は周囲をダンボールにして前面だけ透明の塩ビ板で作りました、

先日ホームセンターに行ったら、サンドブラスターの箱が売っていて、それほど高価ではなかったのでこれで代用できるかもと思いました。照明も付いていてなかなかのものです。
サンドブラスター

無菌箱の自作の詳しい方法は割愛します。

いよいよ④の無菌播種です。
写真を撮っていませんでしたので文章だけになります。
この記事を書いたのがきっかけで、また挑戦してみたくなったのでその時は写真つきで報告します。

なお、無菌箱を使用せず、お風呂場などでアルコールランプを使って作業をすることもできます。
アルコールランプに火をつけることで、その周囲に上昇気流が発生し、さらに熱でその周辺が無菌状態になります。
あと最近では無菌状態にあまり気を使わずに、次亜塩素酸ナトリウム溶液を有効塩素濃度0.01%の濃度にして殺菌すればカビなどの菌を殺菌できるという簡易的な方法もあります。自分も試してみましたが、その後の植物の生育が悪くなり枯れてしまいました。濃度の調整などが難しいのかもしれません。

今回は無菌箱を使用した方法を紹介します。

用意するもの
①ピンセットやメス(なければカッターナイフ)、金属製の耳かきのようなへら
②ステンレスの平皿やガラスシャーレ
③駒込ピペット(スポイト、耐熱性のもの)
④小さめのガラスビン
⑤アルミホイル(ふたが破れてしまった場合用なので、その大きさに切った物を数枚)
⑥滅菌水
⑦消毒液スプレー(キッチンハイター4.5mlを500mlの水道水で薄めたもの)
⑧前回作った無菌培地
⑨キンリョウヘンの種、鞘ごと


まず、無菌播種に使う道具類①~⑤を全て滅菌消毒します。
これは昨日書いた圧力鍋で無菌培地を作る要領です。
アルミホイルに道具をまとめて包み、30分加熱し、30分冷まします。
わたしはこの時、次回使う無菌培地を作ります。
同時に今回使用する⑥の滅菌水も何個か作ります。小さめのビンのほうが使いやすく、200mlのビンに100mlぐらいの水道水を入れ滅菌します。
それを用意している間に、滅菌箱の中を消毒するために消毒液スプレーを適当にスプレーします。
30分放置して使用できる状態になります。

ここまで用意ができたら使用する全てのもの①~⑨を全部滅菌箱の中に入れておきます。
以降道具の出し入れはできませんので、忘れ物がないようにします。
これでカビなどの菌を殺菌します。中の空気を消毒するような感じです。
使用する道具にもスプレーしても良いかもしれません。

いよいよ種子の播種です。
種子の鞘を消毒します。シャーレに鞘を置き消毒液をスプレーします。全体が消毒されるように回転させながら5分ほど放置します。
次に別のシャーレに鞘を移し、メスなどで切り込みを入れます。鞘が破裂していなかった場合、中は無菌状態に保たれていますので、これを耳かきのようなへらを使って無菌培地に落とします。
この時ふたの開け閉めは素早くします。
無菌培地には多少の水分が残っているので、軽く振って、種子が培地上に均一に広がるようにします。
もし無菌倍地上に水がない場合は、あらかじめ作っておいた滅菌水をスポイトで吸い、少しだけ培地に入れます。
ちなみに、ランの種子は非常に小さく、粉みたいなものです。
必要な本数分上記の作業を繰り返します。
あまった種子はアルミホイルにくるみ、さらにチャックつきポリ袋に入れ冷蔵庫で保管します。

鞘が破裂してしてしまっている場合
この場合種子も汚染されているので消毒します。
やり方は、④の小さめのガラスビンの中に消毒液をスプレーで入れます。それほど多くなくて大丈夫です。
その中に種子を入れます。3分間ビンを軽く振って消毒します。
このままだと消毒液で障害が出てしまうので、滅菌水ですすぎます。これは種子が入っているビンの中に5倍以上の滅菌水を入れて薄めれば大丈夫です。良く振ります。
滅菌水ごとスポイトで種子を吸い取り、培地の上に流しこみます。

アルミホイルのふたが取れないようにして完了です。

うまくできていれば、数週間経ってもカビが生えてきません。
この後は、蛍光灯を1日10時間ぐらい当てて種がプロトコーム状(丸くなってくる)になるのを待ちます。

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(2010年2月14日 播種直後)

5ヵ月後、プロトコーム状になった。

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(2010年6月27日)

拡大
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時間が経つとこの丸い緑からランの葉が伸びてきます。ものすごく感動します。

文字だけでわかりにくかったと思いますが、がぜんもう一度挑戦したい気持ちになってきました。
まずはキンリョウヘンを購入するところからです。

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キンリョウヘン(金稜辺) 種から増やす その2

昨日に続きキンリョウヘンを種から育てるになります。
できるだけ詳しく知りたいという方もおられますが、高い技術を追求するときりがなくなってしまうので家庭で実際にできるものを紹介します。時間的にも、キンリョウヘンから種子を採るのに1年ぐらいかかりますので、少しづつ書いていきます。

キンリョウヘンを種から育てるのに必要な工程

①キンリョウヘンに花を咲かせ人工授粉をし種を収穫する(種の収穫は1月~3月頃)
②培地作り
③無菌箱作り
④無菌播種作業
⑤フラスコの管理
⑥苗出し

ちなみにこの技術はシンビジュームなどを自分で交配し、新しい品種を作りだすことを可能にします。

キンリョウヘンの種子の収穫が今から1年以上先になりますので、それまでに培地を作ったり、無菌箱を作ったりの作業をしておくと良いと思います。またシランやネジバナなどの同じラン科植物の種を播いて練習しておくこともできます。わたしはシランとネジバナの無菌播種も成功しました。下の写真はネジバナの種子から発芽している様子です。

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今回は①と②について書ければと思います。

キンリョウヘンの花を咲かせるところまではニホンミツバチを飼育している人なら経験していると思います。
その花に種子を生らせるにはどうしたらいいでしょうか?
網なしでニホンミツバチの分蜂群を集結させたとしても受粉にいたることはほぼなく、確率が本当にわずかに上がるだけです。
それで人工授粉を行います。

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上の写真はキンリョウヘンの白系の花の写真ですが、赤丸で囲ったところに花粉の塊があります。通常は2つ横に並んでいます。
これはネバネバしていてくっつきやすくなっているので、爪楊枝の先などにくっつけ取ることができます。
そうしたらそれを今取った花粉塊があったところのすぐ裏ぐらいのところにある少しくぼんだところにくっつけます。
わかりずらかったらリップと呼ばれる下の花びらのようなもの(一番派手な花びら)をめくるかとってしまって下から覗き込むとわかります。
実際には違う株の花があれば、それを用いるのが良いです。一鉢しかなければ、できれば違う花同士で受粉させたほうが良いと思います。

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受粉がうまくいくと上の写真のように花の根元の部分が膨らんだようになってきます。
念のため何個か受粉させますが、実を生らせるのは株にとって大変な負担となるため、あまりにも多くしてはいけません。

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約6ヶ月ぐらいすると鞘がはじけて種がこぼれてしまうのでその前に鞘を切り取り、冷蔵庫などで保管しておきます。

ここまでが種の準備です。今年挑戦しようと思っても実際にできるのは来年の今頃になります。
それまでは培地作りの練習と、成功した培地をストックしておきます。


それでは②の培地作りです。
これは全て台所で行います。女性のほうが上手かもしれません。
全体を簡単に説明すると、寒天をベースとした培地を鍋で作り、それをフラスコ代わりのガラス瓶に入れます。
アルミホイルでふたをして、圧力鍋で滅菌処理します。
出来上がったものを数週間そのまま常温に置いておき、カビが生えなければ成功です。
それは1年後に種を播く培地として使用できます。

培地の材料
①粉寒天 4g
②砂糖  25g
③ハイポネックス(園芸用肥料) 3g
④じゃがいも 30g
⑤水 1リットル

水1リットルの場合です。沢山作る場合は同じ割合で増やします。ジャガイモはすりおろします。
PHが5.5~6ぐらいがいいようですが、あまり気にしなくても大丈夫です。

次に作り方です。
①材料を鍋に入れよく溶かし沸騰させる。
②ガラスビン(ジャムの保存容器のような1リットルぐらいのもの)に分けて入れます。
圧力鍋に入らないようなら、500mlのものでも大丈夫です。
下から大体4センチくらいまで入れます。
③ビンにアルミホイルでふたをします。
③圧力鍋に水を少しいれ、30分火にかけます。(滅菌作業です)
④30分冷まして完成です。
この時アルミホイルのふたが破れていれば、雑菌が入らないように取り替えます。しかし雑菌が入る可能性が高いので極力ふたは破れないように気をつけます。

圧力鍋を使ってまで作業するのは、培地を滅菌するためです。雑菌が入っていれば、すぐにカビが生えてきます。これをコンタミと言います。
無菌培養なので、ここからの作業はとにかく雑菌が入らないようにすることとの戦いです。
ですからこの段階で雑菌が混入していれば全て水の泡になります。
わたしはそのような失敗を避けるため、培地を作ったら数ヶ月様子をみてコンタミしなかったものを使用するようにしています。

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写真の培地はもう5年以上前に作ったものです。完全に滅菌されているため常温に放置してもカビが生えていません。
長期保存のためふたは金属製のものにしています。
この培地なら今でも使用できます。

もしキンリョウヘンの無菌播種に挑戦してみたいなら、今の時期はこの培地作りの練習とうまくできた培地をストックしておくとよいでしょう。

次は無菌箱作りなどについて書きます。(連続になるかどうかはわかりません)




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