樹の生きている部分

昨日に引き続き樹の基本的な事柄についてです。
昨日は「樹」という言葉は、生きた樹にしか使えないということを書きました。
そう聞くと、樹はその全体が力強く生きているというイメージを抱きます。

しかし、樹は全体が生きているのではありません。
このことを理解しておくと、大きな樹が突然倒れたりする理由もわかるようになります。
また樹に負担をかけない剪定の仕方もわかります。

国の特別天然記念物に指定されるような巨樹になると、その内部はほとんどが空洞になっています。
日本一大きな巨樹である蒲生の大クスも内部には畳8畳分の空洞があるそうです。

昨年の台風で一部倒壊してしまった三恵の大ケヤキも内部はほとんど空洞でした。

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台風の数ヶ月前に撮影した写真です。今回倒れたのは右側の部分です。内部がほぼ空洞になっているのがわかります。

どうして内部が空洞になるかというと、それは樹の内部の木部は生きていないからです。
全ての樹木がそうですが、樹の生きている部分というのは樹皮のすぐ内側の形成層といわれている部分だけです。
樹皮と木部の境の部分に形成層があり樹皮側の師部と呼ばれる部分を光合成で作られた物質が行き来しています。
鹿が樹皮を剥がして食べているのはこの部分です。栄養があるので甘いからです。
そして形成層の内側の木部の部分には導管(針葉樹は仮導管)がありその部分を根から吸い上げた水分が通ります。
この導管はその年にできたものを使いますが、新しいものから数年分が使われる場合もあります。
いずれにしてもどんなに太い巨樹であっても生きているのは、一番外側の樹皮の下、わずか数ミリの部分だけです。
中の木部の部分は成長に必要な物質を生み出すことは無く、大きな体を支えるためだけの役割を担っているのです。

動物もそうですが、死んだ細胞というのはすぐに腐敗が始まってしまいます。
植物の場合も生きている部分は、外敵にも抵抗する力がありますが、死んだ部分にはその力がありません。
それで腐朽菌が内部に入ってしまうとその部分がどんどん腐って空洞になってしまうのです。

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健康な樹木の場合、上の絵のように表面全部が生きています。葉も生きています。
表面が生きた組織で守られているので、普通は腐朽菌が入れません。
細い枝だと切っても生きている部分が多いので大きなダメージにはなりませんし、切られた場所に防御層を作ることが出来るので病気の進入を最小限にとどめることができます。
しかし太い枝を切ってしまうと、死んだ木部がむき出しになってしまうので、そこから腐朽菌が入り、じわじわと中が空洞になって行きます。そして大きくなった外側を支えきれなくなった時に倒木してしまうのです。

切った部分に保護材を塗れば大丈夫でしょうか?
最近の樹木医の考えではあまり意味がないという感じです。切った部分から確実に腐朽は始まるようです。
むしろ、生きている組織が反応して新たな防御層を作るので、その部分を育てて、倒れないような強度を保っているかどうか見ていくというような考え方になっています。

お知らせ!!
NHKのBSプレミアムで1日に「巨樹百景 神様の木に会う」が放送されていました。
とても良い内容でした。
再放送が4日(土)の午前7:45からなので見てください。
朝の7時からなのでお間違いのないように。

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Comments 2

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カピバラ

ウゥ〜ん

みつばちさん
今更ながら、そうなんだと、自分の浅学を恥じ入ります。
ジジィにも分かりやすい解説で勉強になりました。(^ ^)

  • 2020/01/03 (Fri) 06:09
  • REPLY
たまごバナナ

あけましておめでとうございます!

いつもご訪問ありがとうございます

良い一年になりますようにと願っております。

今年も宜しくおねがいします!

  • 2020/01/03 (Fri) 14:29
  • REPLY